「かつや」というお店がある。
トンカツ・カツ丼などをメインとしたチェーンで、わかる人はわかるが地域によっては全然知らんというお店だ。
俺はたまに利用するのだが、カツより豚汁が美味しい摩訶不思議な店という印象だ。
そんなかつやが３日間限定の感謝フェアなるものをやっていたんだ。
７００円以上するメニュー４つがフェアの期間だけ税込みで５００円という値段で卑しい俺には有難いイベント。
コスパ大好き人間だからね。
それはもう行くしかないわけですよ。
あ、因みにフェアは今日でお終いなので、このブログを見て「こりゃ嫁を質にいれても行かねえとっ！」と考えた人には申し訳ないと言っておこう。

そんなわけで今日のお昼に行ってみたのです。

俺が店に行った時は丁度タイミングが良く席が空くのを待つことは無かったのだが、その後外に行列が出来ていましたよ。
混んでたら帰ろうと思っていたので実にラッキーでしたわ。
つーか従業員の忙しさが半端じゃない。
申し訳ない、こんな時ばかり仕事をハードにさせてしまって。
従業員への感謝を心に秘めつつトンカツ定食を頼んだのだよ。

当然フェアでお店が大賑わいなので結構待たされる。
それも覚悟で来ているので、カウンターで大人しくしていましたよ。
お茶を飲みながらね。

そこで隣の人に初めて意識が行った。
歳は５０代後半だろうか・・・なかなかのないすミドルだ。
その時点ではあまり興味は無かったのさ。
良くある風景だしね。

そのおじさんが、おもむろに本を取り出した。

物凄く分厚い本だ。

開いたその中身を覗き見すると、それは間違いなく辞書だった。
国語辞典。
辞典の文字を指でなぞりながらブツブツ言っている。
そしてたまに付箋を貼っている。
なんか賢そうな人だ。
つーか賢い人はトンカツ待ちの店で辞書を見るのか？
わからん。
ちょっとおじさんに興味が出てきた。

おじさんは小さい声で「おそいなあ・・・」とつぶやいている。
そっか、おじさんは日本人か。
決して日本語を勉強するために辞書を見ているわけじゃないんだな。
本のカバーを見ると結構薄汚れているから常に手元に持っているのかもしれない。
付箋も結構あちこちについている。
どういう職業人なのか謎だ。
いや、もしかしたら辞書を見るのが趣味かもしれん。
そういう人が居たっておかしくは無い。
ていうか鞄も何もない中でおじさんは辞書のみ持ってお店に来たのかい？
おじさん、謎すぎて興味が尽きないぜ。


しかしまあ、ここまでは「ちょっと変わった客」程度さ。
興味だって実際はそこまででは無いｗ
（散々煽って書いたけど）

数十分後、おじさんが注文したトンカツ定食が俺より先にきた。
奇しくも俺と同じメニューだ。
因みにその２・３分後に俺のトンカツ定食もきた。



トンカツ定食がきたおじさんは、いきなりカツの表面の衣を取り出した。


全部の衣じゃない。
表面だけだ。
裏側は衣がついたまま。
表は豚肉がむき出し。
そんな状態だと把握して欲しい。

おじさんの中には何かルールがあるらしく、それを淡々とこなしながら食べていく。

・以下の行動はトンカツの２切れづつで行われる
・カツの表面の衣を取る
・その上にたっぷりとカラシを塗る
・トンカツソースを掛ける
・食べる
・そして次の２切れへ


最初、ちょっと何をしているのかわからなかった。
トンカツを食べに来ているのに衣を取る？
特に衣の油を気にしているわけじゃなさそうだし、なにより気になるならトンカツを食いに来ないはず。
まず衣を何故とるのかわからない。
おじさんの衣取が２切れづつ行われているのもわからない。
全部いっぺんにやるのじゃダメなんかい？
２枚づつ衣を取ってカラシを塗ってじゃ面倒だろうに。
２枚づつというのがおじさんの中でどうしてベストと判断されたのか謎だ。
気になってしょうがない。
ていうか自分の飯よりおじさんの行動が気になってしょうがない。
ついつい横目で見てしまう。

おじさんに疑問符ばかりが湧いてくる。
どうしよう、凡人の俺にはおじさんの思考についていけない。


おじさんと俺、ほぼ同時にトンカツを食べ終わった。
俺の方の皿は綺麗なもんだ。
実に綺麗に完食して何も残っていない。
一方おじさんの方は当然ながら剥がしたカツの衣が。



おじさんが皿を手に持つ。




食べた！

剥がした衣を食べたよ！！


ヤバい。
謎すぎてヤバい。
綺麗にに食べて偉いのかも知れないが、それまでの行動は何だったのか。

え、衣が好きなの？
でも衣だけだよ？
もう、ご飯も豚汁も無いよ？
ていうかご飯を食べ終えた茶碗には残った米粒だらけだよ？


ドキドキを通り越して少し怖くなったんですけど。
だって、あまりにも自分には理解不能な事が目の前で起きたんですもの。
俺のCPUじゃ処理速度が追いつかない。
フリーズしてしまいました。

取りあえずおじさんより先に店を出ようと急いで会計に向かった。
でも、混んでいるのでレジで待たされたら後ろにおじさんがきたｗ
理解出来なかった人が背後に居るというのは実に怖いｗ
取りあえずおじさんと目を合わせないように逃げるように店を出ました。


中々インパクトのある出来事でしたよ。
この歳になってここまで思考が理解できない人と遭遇するとは思わなんだ。
変に緊張しちゃったよ。

あ、思考が理解できない人には２日前にも遭遇したっけ。
でも、そっちの方は地下の店にタバコを吸いながら現れて、降りてきたエスカレーターでタバコを消すという頭のおかしいDQNだったので不安にはならなかったｗ
そっちの方の思考なんか一生理解をするつもりもないしね。