皆さんが今までで一番感動した景色ってなんですかね？

俺が北海道生まれなのは前に書いたとおりなんだがその頃のお話。

当時中学生の頃、俺は小遣い欲しさに新聞配達のアルバイトをしていたのね。
当時の中学校では当然アルバイト禁止だったんだけど、何でか知らんけど新聞配達だけはＯＫになってたのよ。
新聞配達はやりたくないがやるしかアルバイトは出来ない状況。なので仕方なくやっていた。
北海道の人口2万人も居ない市だったので、配達件数はそんなに多いわけじゃない。
ただし、物凄く長い距離を配らなきゃならんかったのですよ。（毎日10kmくらい）
大変。物凄く大変。
時給に換算すると1時間500円程度にしかならんかったしね。
しかしやらねばならんかった。
だって親父が店潰したせいで家が貧乏だったんですもの。
お小遣いは自分で稼ぐしかなかったのさ。

そんな嫌々やっていた新聞配達の時に見た光景。

真冬のある晴れた日、物凄くしばれる（方言：すんげー寒いってこと）朝で零下20℃は間違いなくあろうかって時があったのですわ。
晴れた日は地上の熱が全部空に上がって気温がグンと低くなるのよね。
そんなしゃれにならん日も新聞を待つ人のために配らねばならぬのがこの家業。
辛い。物凄く涙目で辛い。泣いたら涙が凍りつくから我慢するんだけどね。
そんな中を何故か自転車で新聞配る俺。
アイスバーンの路面をズルズル滑りながらも必死でチャリで配る俺。
チャリじゃなきゃ何時間掛かるかわからん距離なんですもの配達地域が。

そしてやっと配り終えて帰宅の途中に朝日が昇ってきた。
山の山頂で街全体が見える場所で遭遇した景色。

それは街と言うか目に見える全ての世界がキラキラ光り輝いていた。
なんか空から無数の光が宝石のように降り注いでいた。


『ダイヤモンダスト』って知ってるかな？
聖闘士星矢に出て来る必殺技ではなく気象現象の方ね。
あまりの寒さに空気が凍り付いてしまい、それがキラキラ光ってたんだよね。
北海道でもあまり見ない光景ですわ。かなり寒く無いと起きない現象なんで。
多分天気が晴れていたのと、日の出直前の一番気温が低い時だからこそ見れたんだと思う。

思わず見とれて暫くボーとその光景見てた。

顔は皮膚がピリピリして痛く、指先や足もかじかんで辛かったけど見てた。

どれくらい見てたかは覚えてないけど帰り道はかなりご機嫌だった事は覚えている。
そして家に帰ってからも誰にもその見た光景のことは話さなかった。もちろん学校の友達にも。
なんか言っちゃうと勿体無いというか感動が薄れちゃう気がしてさ。

結局見たのはそれ一回だけだったけど、俺には忘れられん光景だったな。
未だにあの時の感動に優っているものはないかも知れん。
初めて見たエロⅤの『洗濯屋ケンちゃん』よりも感動した。
え、そんなオチはだめ？そら失礼ｗ