子供の頃の思い出なんだけど、きっとこれが俺がプロレスを好きにならせてくれたきっかけじゃないかと。


小学校低学年の頃だったと思うんだけど、住んでいる街に『国際プロレス』が地方興行でやってきたの。
当時俺は柔道の町道場に通ってたんだけど、道場主とどういう繋がりがあるのか知らんが国際プロレスの人と交流する事になったわけ。
そんで野球ができるくらいの公園に集められて、ソフトボールなんかしちゃったのですよ。

子供心に「大きいなあ」くらいの印象しかなかったんだけど、そこに1人異色の選手がいたのさ。
名前は『稲妻二郎』。
名前は純和風なわけだが黒人のお兄ちゃんだったｗ

その人がさ、裸足と素手でソフトボールすんのよ。それも上半身裸でｗ
もうね子供としては野生のゴリラにしか見えないわけさ。
文明を否定するかのような振る舞いが俺には物凄いインパクトだったのね。
だけどその稲妻二郎がすげぇ俺らに優しいの。
みんな優しかったんだけど特に稲妻二郎がね。
ずっとニコニコして子供抱えあげたり裸足で走り回ってはしゃいだりしてさ。
今思うと稲妻二郎なりのパフォーマンスだったんだろうけど、その思惑は成功したと言わざる得ない。
だって俺は稲妻二郎しか覚えていないものｗ
アニマル浜口や寺西修、マイティ井上や阿修羅･原もきっと居たはずだ。
往年の名レスラーの大木金太郎もいたかも知れない。
だけど俺は全く覚えていないからね。
覚えているのは稲妻二郎とラッシャー木村だけなの。

そんなソフトボールで好印象を持った稲妻二郎を応援したくて行きましたよ。国際プロレスの試合見に。

初めて見たプロレス観戦は大きな驚きだったよ。
プロレスの凄さとかじゃなく、前日にあんなに楽しく皆でソフトボールした人たちが殴りあい叩きあいしてんだものｗ
それが物凄くショックだったわ。
みんなニコニコして楽しそうにやってたのに、いきなり「なんだこら！」「ふざけんなよこら！！」とか怒鳴り合いして闘ってんだもの。
子供の俺には理解不能だった。

ほんでメインイベント。
試合は『ラッシャー木村VS稲妻二郎』のカードだった。
それも『金網デスマッチ』で。



もうねえ忘れられない試合だったね。

物凄いんだもの。



稲妻二郎、血だらけの上に泡吹いて失神してたからね


後々になって知ったよ。
ラッシャー木村が当時『金網デスマッチの鬼』と恐れられてたなんてｗ

あんなに優しくて野性的だった稲妻二郎がフルボッコで血だらけですよ。
物凄いトラウマになってもおかしくないレベルな状況なわけ。
それから興行が終わり国際プロレスがいなくなった後も、ずっと体育館の裏には血染めの金網だけが残されてたっけ。
なんとも言えない悲しい気持ちになったことを覚えている。



子供の俺としては相当なインパクトがあった一件だったわけだけど、現在普通の人よりはプロレス好きなところを見るとトラウマになる負のイメージよりも、そのギャップが良い印象として強く残ったって事なんかも知れんね。


気になってさっきネットで検索してみたら、確かに稲妻二郎は存在していたわ。
だけど詳しい記述や人となりは流石に書いてなかったかな。

だけど俺の中で最初に認識したプロレスラーは稲妻二郎だ。
黒人で半裸でソフトボールを裸足と素手でやる稲妻二郎だ。

稲妻二郎のお陰で今でも俺はプロレスが好きです。