「センバツ・準々決勝、済美６-３県岐阜商」（１日、甲子園）

　済美（愛媛）の安楽智大投手（２年）が米メディアに“反論”した。

　済々黌との３回戦後、２試合で計３９１球を投げた球数について米野球専門誌のベースボール・アメリカ
が「世界で最高の１６歳投手の１人だが、正気のさたではない球数」と報道した。この日は１３８球。
３試合で計５２９球となった安楽は試合後、「投げすぎという印象はない。日本の野球はそういうもの」
と、きっぱりと話した。

日本の高校野球については、選手の酷使を良く取り上げられますな。
その都度問題提起はされるけど何にも変わらない。
今回も結局何事もなかったように、同じ様ないつもの夏の大会への戦いが始まって行きます。
この高校生投手、安楽君は最終的に5試合に登板し、3連投を含む７７２球を投げました。


ぶっちゃけ高校生へのこれだけの酷使を、野球というスポーツを理解している人ならば誰も推奨なんかはしないよね。
明らかにリスクしかない。
なのに何故毎年こんな事を続けるのか、野球に詳しくない人は不思議でしょうがないかもね。

まあ、ハッキリ言っちゃうと『大人の都合』でしかないんだけどさ。

高校野球に関しては長い歴史があるせいで、色々な大人たちの利害が絡んじゃってるの。
優秀な選手ならば中学くらいから大人たちが介入してくるからね。
簡単に言っちゃうと、プロになっちゃえば選手や家族の利益だけになるけど、それまでは周りの大人たちも甘い汁を吸わせて頂こうって事なのさ。
それがマスコミやTV局、政治家なんかも絡んできちゃうからややこしい。

本当なら国会でも高野連（高校野球連盟）でも何処でも良いから、高校生投手を酷使しない為の制度を設ければ直ぐに解決する話なのよ。
あくまで選手を守る為のルール作りだけならね。
でもそれを始めちゃうと、今まで作り上げた『高校野球』って文化も壊す事になる。
優秀な投手を連投させられなくなったら、選手層の厚い越境入学だらけの高校の方が有利になるので、今度は越境入学制度自体に問題が行っちゃう。
じゃあ試合日程を緩めて連投にならないようにしよう、って考えると今度は放送しているTVとか球場を貸してる方の都合が悪くなる。
もう大人達には不都合な事がでまくっちゃうのさ。

そして大人達の都合を優先させるには・・・子供達を洗脳しちゃうのが一番なんだよね。
「高校野球とはこういうものだ」と思わせちゃえば子供達は我慢して頑張っちゃうから。
なんか体罰問題の時と本質は似ているかも知れんな。
「体罰が当たり前」と洗脳していたのが、今度は「酷使するのが当たり前」に変わっちゃっただけだし。


日本の野球ってのはさ、実は物凄いエリート主義のスポーツなのね。
早ければ小学生中学生から戦いが始まって、最終的にプロの夢を掴む為に激しいサバイバル競争をするのですよ。
日本の人口や野球の競技率に比べ12球団（支配下枠は1球団70人）しかない狭き門。
そこに生き残る為には監督の言うとおり酷使もするし、「怪我したらそこまでの選手」なんて言葉を受け入れちゃうんだよね。
日本の場合はプロになって稼ぐよりも、まずはプロ野球選手になるのが難しいから。
その為には高校生から活躍して注目されなきゃね。
ある意味選手の思惑と大人達の都合は一致している感じはする。


しかし。


しかしだ。


少年少女を大人の性の対象から守る為に、淫行条例があったりするわけじゃない？
それと同じ様に高校球児達を守る為に何かしらのルール作りをしなきゃいけないのに、それを何もしないで現状維持でいるのは、もうこれは大人達の怠慢でしかないよね。
大人から子供を守るって意味では一緒なのにさ。

それをできない時点で俺は高校野球が嫌いなんですよ。
前にも書いたけど本当に好きになれない。
スポーツ観戦好きだけど、基本的に高校野球は見ないからね。
酷使されているのを美談にしちゃうようなのを、俺は楽しんで見れる感性は無いので。

悪しき慣例を『伝統』と言って誤魔化しちゃうようなモノに、惹かれるものは何も無いっすわ。