誰が言ったか知らないが『人は誰にでも才能と呼べるものが一つはある』なのだそうな。

怪しい風説だがちょっと夢があるじゃないの。好きな言葉だ。

あの野比のび太にでさえ射撃やあやとりの才能があるんだもの。
みんなにだってきっと何か隠れた才能が一つはあると思うよ。

たぶんね。

きっとね。

うーんどうだろう？


野球やサッカーみたいに分かり易い才能だったらありがたいけど、そんなオイシイ物件ばかりとも限らない。
実は自分の隠れた才能が『刺身の上にたんぽぽを置く才能』って場合もあるからね。
物凄く早く正確に綺麗にたんぽぽを置けちゃう才能。
・・・取り合えず今の俺には必要ないなｗ


小学生の時、クラスに特殊学級の子がいたんだけども、物凄く笛を吹くのが上手だったのさ。
会話も上手く出来ないし、授業中にオシッコ漏らしちゃって泣き叫んじゃうような子だったんだけど、笛だけは本当に見事な腕前だった。リコーダーって笛かな。
笛をヨダレでダラダラにしながらも嬉しそうに吹くんだよね。

俺はあの子を見て「羨ましいなあ」って思ってた。
常にそう思ってたわけじゃないけど、笛を上手く吹いているのを見るときは自然にそんな想いを抱いた。
俺も笛がこの子くらい上手く吹けたらなあってな。


多分あの頃の俺は、その特殊学級の子の笛を上手く吹くという『才能』を羨ましがってたんだろうね。


今でもあの子のことを羨ましく思ってる俺ガイル。