13年前の1月17日の朝、俺はいつものように目覚め、いつものようにテレビを点けた。

画面には上空のヘリコプターから撮られた映像が流れていた。
街並みの到るところから立ち上る煙。
横倒しにされているビル。

最初、何が起きているか全くわからなかった。
何処のチャンネルも同じように廃墟のようなものが流されている。

「何が起きてんだ・・・」

仕事に向かうギリギリまで見続け、それが兵庫県で起きた地震だということは認識できた。


当然、職場に行ってもみなの話題はあのショッキングな映像だった。
職場のテレビを見ながら全ての人がこの地震に注目していた。
しかし神奈川県は普通に仕事だ。気になっていようが関係なく。

休憩時間になるとみんながすぐにテレビにかじりついた。
亡くなった被害者の数が100人を超えている。

お昼。15時。
物凄い勢いで亡くなった被害者の数が増えていく。


ずっと心臓の辺りがざわざわしてた。

家に帰ってテレビを見た時、死亡者は2000人を超えていた。




これが当時の今でも忘れられない阪神大震災の記憶。
ずっと頭の中で「・・・何だこれは」「やべえ・・・洒落にならんぞ」、そんなことばかりグルグルしてたな。

次の日だったかな。
兵庫では震災真っ只中なのに、テレビで『もし関東（東京）で同じような地震が起きたら～』みたいなもしも話をし始めたのを覚えている。
「こいつら何考えてんだ？」って呆れ返ったな。


多くの人、特にマスコミは2ヵ月後に起きた地下鉄サリン事件に話題を移していき、徐々に阪神大震災のニュースは消えていった。
俺も兵庫に縁もゆかりもなかったせいか、あの大震災がどこか遠くのことのように感じていたと思う。


それから6年の歳月が経ち、兵庫女性と知り合い付き合うようになった。
もう当時の俺の中には『あの大震災の兵庫』って気持ちはなくなっていたのね。

ある日深夜に電話が掛かってきた。
彼女（当時）からだった。
「怖い夢を見た」と言って泣いていた。
今は平気なそうだが、怖い夢を見たときなど、稀にあの阪神大震災の頃の恐怖が蘇ってくるらしい。
夜が怖い。闇が怖い。そう言って泣いていた。

その時やっとわかった。
阪神大震災は今でも続いていたんだって。



あの地震で亡くなった人は6,434人。
重軽傷者を合わせると被害者数は43,792人にものぼる。
当時はPTSDなんて言葉も広まっていなかった時代。
その後も多くの人が仮設住宅などで亡くなったそうだ。

規模があまりにも大きい災害だった為、当時誰もがちょっとした外出のついでに募金をしていたのに、一人一人に渡る金額も微々たるものだったらしい。
（彼女の家は一部損壊で家族全員無事だったので全く貰わなかったそうな）


阪神大震災から13年。
黙祷しましょうなんて言う立場じゃないし柄でもないけどさ。
俺は13年前にあの災害があったって事だけは思い出したいです。
忘れたくないです。